こんにちは。
桜が満開の季節です。
そして、とりわけ日本では、人生の節目となることの多い季節でもあります。
多くの出会い、別れ、選択の結果が、現れてくるときであることも多いですね。
このごろ、優れた絵本は、子どもだけではなく、大人にとっても読みごたえがあるという考えが、ひと昔まえよりも広がってきていることを感じます。
私も、これまでの人生の折々に、絵本にふれてきました。
はじめは、本を読んでもらうのが嬉しかった、私自身が幼いころ。
次は、生き方を模索していた高校大学生のころ。
そして、子どもが小さいころ。
さらに、介護の日々には、それまでにふれた絵本の言葉や絵がふと浮かんできて、ずいぶん助けられました。
今、人生の季節としては、子育ての終盤を迎えていますが、何度も読んだ絵本であっても、まだまだ、新たなメッセージをくれます。
深く透徹した目と思考で、人生を見据えた作家だからこそ紡ぐことのできる、シンプルな言葉と美しい絵で届けられる絵本に、少し、時間に余裕ができてきた今、改めて、じっくりふれてみたいと思います。
今日の一冊
スプーン、ひなぎく、あめ、りんご、くつ、……そして「あなたにとってたいせつなことは」
と語りかけるマーガレットワイズ・ブラウンの言葉を、うちだややこさんが訳しています。
うちだややこさんは、名女優の樹木希林さんのお嬢さん。
樹木希林さんの本質を逃がさない演技には、いつも感服。ファンというより尊敬してしまいます。そして、ややこさんが、この本を手に取り、訳してくださったことに、感謝します。
子どものころは、大人になると、なんでもよくわかるのだと思っていました。
でも、大人になっても、わからないことはたくさんあります。
それどころか、知らないことがたくさんあることを、思い知ります。
自分自身についてさえ、逆境になると、思いもよらなかった自分と向き合うことになったりします。
ときには、自分を見失いそうになったりします。
そんなとき、この本が目に入ると、混沌としたなかで、たいせつなことはなにか、起こっていることの本質はなにかを見つめる視点を思い出します。
レナード・ワイスガードの絵も、美しいだけではなく、言葉の根拠を伝えるような鮮やかさ。
「わたしってなに?ほんとうはどんなひと?」
といった疑問は、若い人のものだけではなく、ひょっとすると、人生のさまざまな場面で、一生湧き続けるものなのかも。
あふれる情報や、日常のいそがしさに、まぎれてしまいがちなことですが、たいせつなことを忘れては、やはり、人の心は居所をまちがえてしまうのかもしれないと思います。
学問や技術の発展も、このたいせつなことを忘れては、正しい方向を見失ってしまうのではないかと思います。
我が家のリビングのいつも見えるところに、この本は飾っています。
ささやかな人生であっても、たいせつなことをいつも思い出せるように。
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