絵本フィロソフィー

優れた絵本には、人生がいっぱいつまってます。

たいせつなことはいつもシンプル

こんにちは。

桜が満開の季節です。

そして、とりわけ日本では、人生の節目となることの多い季節でもあります。

多くの出会い、別れ、選択の結果が、現れてくるときであることも多いですね。

 

このごろ、優れた絵本は、子どもだけではなく、大人にとっても読みごたえがあるという考えが、ひと昔まえよりも広がってきていることを感じます。

私も、これまでの人生の折々に、絵本にふれてきました。

はじめは、本を読んでもらうのが嬉しかった、私自身が幼いころ。

次は、生き方を模索していた高校大学生のころ。

そして、子どもが小さいころ。

さらに、介護の日々には、それまでにふれた絵本の言葉や絵がふと浮かんできて、ずいぶん助けられました。

今、人生の季節としては、子育ての終盤を迎えていますが、何度も読んだ絵本であっても、まだまだ、新たなメッセージをくれます。

深く透徹した目と思考で、人生を見据えた作家だからこそ紡ぐことのできる、シンプルな言葉と美しい絵で届けられる絵本に、少し、時間に余裕ができてきた今、改めて、じっくりふれてみたいと思います。

 

今日の一冊

たいせつなこと (ほんやく絵本)

たいせつなこと (ほんやく絵本)

  • 作者:マーガレット・ワイズ ブラウン
  • 出版社:フレーベル館
  • 発売日: 2001-09-01

 

 

スプーン、ひなぎく、あめ、りんご、くつ、……そして「あなたにとってたいせつなことは」

と語りかけるマーガレットワイズ・ブラウンの言葉を、うちだややこさんが訳しています。

うちだややこさんは、名女優の樹木希林さんのお嬢さん。

樹木希林さんの本質を逃がさない演技には、いつも感服。ファンというより尊敬してしまいます。そして、ややこさんが、この本を手に取り、訳してくださったことに、感謝します。

 

子どものころは、大人になると、なんでもよくわかるのだと思っていました。

でも、大人になっても、わからないことはたくさんあります。

それどころか、知らないことがたくさんあることを、思い知ります。

自分自身についてさえ、逆境になると、思いもよらなかった自分と向き合うことになったりします。

ときには、自分を見失いそうになったりします。

そんなとき、この本が目に入ると、混沌としたなかで、たいせつなことはなにか、起こっていることの本質はなにかを見つめる視点を思い出します。

レナード・ワイスガードの絵も、美しいだけではなく、言葉の根拠を伝えるような鮮やかさ。

「わたしってなに?ほんとうはどんなひと?」

といった疑問は、若い人のものだけではなく、ひょっとすると、人生のさまざまな場面で、一生湧き続けるものなのかも。

あふれる情報や、日常のいそがしさに、まぎれてしまいがちなことですが、たいせつなことを忘れては、やはり、人の心は居所をまちがえてしまうのかもしれないと思います。

学問や技術の発展も、このたいせつなことを忘れては、正しい方向を見失ってしまうのではないかと思います。

我が家のリビングのいつも見えるところに、この本は飾っています。

ささやかな人生であっても、たいせつなことをいつも思い出せるように。

 

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